置目: 蒔絵を描くための下絵

和食器などで親しみのある「漆器(しっき)」には、純金を使った煌めきのある美しい絵、「蒔絵(まきえ)」が描かれています。この蒔絵を描く下絵となるのが「置目(おきめ)」という薄紙に描かれたデザイン画です。 京漆器・象彦には一六六一年の創業時から今日まで三五〇年以上にわたり数多くの「置目」が受け継がれてきました。置目は繊細な線で描かれているのが特徴で、水墨画などとはまた違った趣があります。お正月などのおめでたい日の漆器に絵付けしたであろう、花鳥風月や吉祥文様、雅な宝尽くし…何百年の時を越えて京都の感性が息づくアートがそこにはつまっています。 その世界観を、ライフスタイルの中でより身近に感じてもらいたいという想いから― Okime – The Art of Transferring Motifs to Lacquered Work. ―「Okimeアート」と名付け、第一弾商品アイテムのデザインモチーフとしています。

置目を用いたデザイン・プロセス

従来の手法象彦ブランド

  • 置目のデザインを漆でなぞる
  • なぞった漆をヘラで転写する
  • 転写した漆に金粉を絡ませ、置目の線を目安に漆で再度図柄を描く
  • 金粉を蒔きつける
  • 余分な金粉を筆で払い、細部の蒔絵をした後、全体に漆をすりこみ磨き上げる
  • 完成した商品イメージ(手鏡)

新しい手法一六六一ブランド

  • 置目をスキャンする
  • デジタル化処理を行う
  • 紙の地色を消去する
  • 絵柄のキズ・かけなどを修復しグレースケールに変換
  • 着色作業を行う
  • 完成した商品イメージ(ノート)

これまで漆器にしか使われなかった「置目」に色を加えたり、組み合わせてみたり―
既成概念にとらわれず、自由に発想をすることで、新たな芸術作品を生み出しました。

几帳蒔絵硯箱

京漆器 象彦

寛文元年(一六六一年)、象彦の前身である象牙屋が開舗、以来漆器道具商として歩み続けている。朝廷より蒔絵司の称号を拝受した三代目西村彦兵衛が晩年に描いた「白象と普賢菩薩」の蒔絵額が洛中で評判となり、人々は象牙屋の「象」と彦兵衛の「彦」の二文字をとり「象彦の額」と呼び、それ以来の通り名が時を経て信頼を深め今日に至る。 四代目彦兵衛は仙洞御所の御用商人をつとめ、六代目は風流の道に通じ、数々のお好み道具を制作。八代目は漆器の輸出や京都蒔絵美術学校を設立し多くの職人を育成。近年では海外企業やクリエイターとのコラボレーションも積極的に行い、語りつくせぬ京漆器の魅力を世界にも広げていく歩みを続けている。 二〇一五年、京都で培ってきた審美眼を、創業年にちなんで名付けたブランド「一六六一」に吹き込み、新たなプロデュースを始める。